子どもの貧困対策、地域交流の拠点として注目される「子ども食堂」。最近のニュースでは、コロナ禍の影響を受けて開催を見合わせる傾向がある一方、子供だけでなく多種多様な方々が支援を求めていると聞きます。
先日、子育て支援団体みんなのぽっけさんのお手伝いで、「袋井子ども食堂 わくわくキッチン」と、「りおな子ども食堂」の記事をまとめました。その経験をもとに、森ふくろうの視点で、袋井市の子ども食堂をお伝えしたいと思います。
温かい食事で、きっかけをつくる
2つの施設を取材してみて、子ども食堂は温かい食事を提供するだけではなく、地域のつながりができる点で大きな存在だと感じました。
子ども食堂には、「少しでも何かできることを」と思う方々が集まります。食材や寄付だけでなく、情報も含めて、様々な形の支援が集まるため、通うだけでも何らかのきっかけが生まれます。
農林水産省では、食育の観点から子ども食堂に求められる2つの機能を挙げています。
- 子供にとっての貴重な共食の機会の確保
- 地域コミュニティの中での子供の居場所を提供
りおな子ども食堂と、袋井子ども食堂わくわくキッチン。運営母体は違いますが、子どもの食育だけではない機能を担っていました。
絵本「どうぞのいす」で気づいた共通点
子ども食堂が扱うテーマは繊細です。
森ふくろうも、この記事を書くべきか躊躇しました。
「プライベートな部分に、土足で踏み込むような文章にはしたくない」
「記事が増えるほど、求めている人に伝わる機会が少しでも増えるのでは……」
2つの思いに揺れながら、頭に浮かんだのは、「どうぞのいす」という絵本でした。
物語は、うさぎさんが、手づくりのいすと「どうぞのいす」と書かれた看板を、木かげに置くところから始まります。「どうぞ」はやさしい心の合言葉。さまざまな動物たちが「どうぞ」をやり取りする、心温まるおはなしです。
うさぎさんの作った「どうぞのいす」が、動物たちのおすそわけの場になる。誰かが無理をすることなく、強要もせず、自然とやさしい心が連鎖します。これこそ、袋井市の2つの子ども食堂が、目指されている姿かもしれないと思いました。
袋井市の子ども食堂
2021年現在、袋井市では2つの子ども食堂が開催されています。
生活に追われ「子どもと心穏やかに食事をとれていないな……」と感じる方は、ぜひ一度訪れてみてください。スタッフの方々が温かく迎え入れてくれます。
りおな子ども食堂
(写真提供:みんなのぽっけさま)
「社会福祉法人なごみかぜ」が、地域貢献活動の一環として開催する子ども食堂です。地域から寄せられた野菜たっぷりのメニューが特徴。赤ちゃん連れや、体の不自由な方でも利用しやすい座敷席があります。
開催日時 | 毎月 第4日曜日 16:30~18:30 (30食・無くなり次第終了) |
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料金 | 子ども(高校生以下):無料 大人:1食300円 |
場所(Google Map) | NAGOMIカフェ |
詳細 | りおな子ども食堂|みんなのぽっけ 団体紹介 |
会場のNAGOMIカフェは、火曜~土曜、11:00-15:00に営業しています。地元野菜の薬膳カレーと、チーズたっぷりのピザバケットは、森ふくろうの大好物です。
袋井子ども食堂わくわくキッチン
袋井駅前の、天理教山名大教会が主催する子ども食堂。この団体は、130年以上前から袋井地域とともに歩んできた歴史をもっています。教会関係者のほか、駅前に住む方をはじめ、全国から活動に共感した方々の支援が集まっています。
開催日時 | 毎月 第1・3土曜日 17:00~19:00 |
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参加方法 | 申込みフォームより事前連絡が必要 |
料金 | 無料(どなたでも) |
場所(Google Map) | 宗教法人天理教山名大教会付属施設「わいわいホール」 |
詳細 |
公式ホームページ 公式Instagram 袋井こども食堂 わくわくキッチン|みんなのぽっけ 団体紹介 |
調理担当は調理経験のあるお父さんたち。 家庭的な料理が特徴です。宗教的な勧誘はありません。地域の「やさしい心をつなげる場所」を目指して運営されています。
まとめ
子どもたちの居場所、孤食、家庭問題、経済的な問題、いずれも複雑に絡んでおり、家庭ごとに抱えるものも違う。普段は話しづらい悩みを、話す余裕すらない場合もあるかもしれません。
まず避けなければいけないのは、困っている人たちが孤立してしまうこと。この記事が、何らかのきっかけになれば嬉しいです。
「どうぞ」「おたがいさま」の気持ちを大切に。絵本もぜひ、手にとってみてください